北欧神話には、戦場で戦士の運命を選び取る神秘的な存在が登場します。
それがヴァルキリー(Valkyrie)と呼ばれる戦乙女です。
ヴァルキリーは、戦いの中で勇敢に戦った戦士の魂を選び、
神々の館ヴァルハラへ導く役割を担う存在として語られてきました。
その姿は、白鳥の羽衣をまとった乙女、槍や盾を持つ戦士、あるいは嵐の中を駆ける神秘的な存在として描かれることがあります。
北欧神話の詩やサガには、多くのヴァルキリーの名前が残されています。
それぞれの名前には、戦い・嵐・勝利・武器などを象徴する意味が込められ、神話の世界観を豊かに彩っています。
ここでは、北欧神話に登場するヴァルキリーの名前を一覧形式で紹介します。
北欧神話のヴァルキリー一覧|女神・女性存在として知られる

- アルルーナ(Alruna)
古ノルド語の rún(秘密・神秘)に由来すると考えられる名を持つヴァルキリー。
『古エッダ』の詩篇『Völundarkviða(ヴェルンドの歌)』に登場し、白鳥の衣をまとった乙女の一人として描かれる。
仲間のヴァルキリーとともに湖のほとりで糸を紡ぐ場面が語られ、英雄ヴェルンドと関わる物語に登場する。 - ブリュンヒルド(Brynhildr)
古ノルド語の brynja(鎧)と hildr(戦い)からなる名で、「鎧の戦乙女」を意味するとされる。
『ヴォルスンガ・サガ』や『シグルズ伝説』で有名なヴァルキリーで、オーディンの命令に背いたため眠りの呪いを受けたと語られる。
英雄シグルズにより目覚めさせられるが、その後の悲劇的な運命によって北欧神話でも特に有名な人物となった。 - エイル(Eir)
古ノルド語で「助け」「慈悲」「救済」などを意味する語に由来する名。
『スノッリのエッダ』や『Nafnaþulur(名前の詩)』に登場し、ヴァルキリーの一人として挙げられる。
また医療や癒しに関係する女神としても知られ、神々の医術に通じた存在として伝えられている。 - ゲイル(Geir)
古ノルド語で「槍」を意味する語をそのまま名に持つヴァルキリー。
『Nafnaþulur』に名前が見られ、戦いを象徴する武器の名を持つことから戦場に関係する存在と考えられる。
北欧神話では槍はオーディンの武器グングニルと結びつく神聖な象徴でもある。 - ゲイラヴォル(Geiravör)
古ノルド語の geirr(槍)と vör(注意・守護・知恵)に由来すると考えられるヴァルキリー名。
『Nafnaþulur』にその名が見られ、戦いと知恵を象徴する存在として解釈されることがある。
槍に関連する名前を持つヴァルキリーは北欧神話に多く、戦場の運命を左右する存在として描かれる。 - ゲイルドリフル(Geirdriful)
古ノルド語で「槍を投げる者」「槍を放つ者」を意味するとされる名。
『Nafnaþulur』にヴァルキリーの名前として登場する。
戦場で戦士の運命を決める存在として、槍を象徴とする戦乙女の典型的な名の一つと考えられている。 - ゲイルオルル(Geirölul)
古ノルド語で「槍を持って突き進む者」といった意味を持つとされるヴァルキリー名。
『古エッダ』の『Grímnismál』や『Nafnaþulur』に登場する。
戦いに関連する語を持つことから、戦場で英雄の死を選び取る存在としての性格を象徴する名前とされる。 - ゲイルスコグル(Geirskögul)
「槍を揺るがす者」あるいは「槍の振り手」を意味すると解釈されるヴァルキリー名。
『Völuspá』『Hákonarmál』『Nafnaþulur』など複数の文献に登場する。
戦場に現れ戦士の運命を決めるヴァルキリーの役割を象徴する名の一つとされる。 - ゴル(Göll)
古ノルド語で「轟き」「騒然」「戦場の喧騒」を意味する語に由来するヴァルキリー名。
『Grímnismál』や『Nafnaþulur』に名前が見られる。
戦場の激しい音や混乱を象徴する存在として理解されることが多い。 - ゴンドゥル(Göndul)
古ノルド語で「魔法の杖」あるいは「魔術に関わる者」を意味するとされる名。
『Völuspá』や『Nafnaþulur』に登場するヴァルキリーの一人。
一部の詩では戦場で王の運命を導く存在として描かれている。 - グンル(Gunnr)
古ノルド語で「戦」を意味する語に由来する代表的なヴァルキリー名。
『Völuspá』『Gylfaginning』『Darraðarljóð』など複数の文献に登場する。
戦そのものを象徴する存在として知られ、北欧詩では戦いを表す言葉としても用いられる。 - ヘルフィヨトル(Herfjötur)
古ノルド語で「軍勢の束縛」や「戦士を縛る力」を意味するとされる名。
『Grímnismál』および『Nafnaþulur』に登場する。
戦場で戦士の動きを止める力を持つ存在として解釈されることがある。 - ヘルヤ(Herja)
古ノルド語で「破壊する」「襲撃する」という意味の動詞に由来する名。
『Nafnaþulur』でヴァルキリーの名前として挙げられる。
戦場での破壊や襲撃を象徴する戦乙女の一人と考えられる。 - ヘルヴォル・アルヴィトル(Hervör alvitr)
「すべてを知る者」という意味を持つとされる名。
『Völundarkviða』に登場する白鳥の衣を持つ乙女の一人で、ヴァルキリーとして扱われる。
人間の英雄と結婚する伝承を持つ点でも知られる。
- ヒルド(Hildr)
古ノルド語で「戦い」を意味する語に由来するヴァルキリー名。
『古エッダ』の詩篇『Völuspá』『Grímnismál』や『Darraðarljóð』など複数の文献に登場する。
北欧伝承では戦そのものを象徴する存在として知られ、戦場で戦士の運命を決め、英雄の魂をヴァルハラへ導く役割を持つとされる。 - ヒャルムスリムル(Hjalmþrimul)
古ノルド語で「兜を鳴らす者」または「兜を震わせる者」を意味するとされるヴァルキリー名。
『Nafnaþulur』に名前が見られる。
戦士の兜や武具に関係する語源を持つことから、戦場の激しさを象徴する名前と考えられている。 - ヒョルトリムル(Hjörþrimul)
古ノルド語の hjǫrr(剣)と þrima(響き・轟き)に由来するとされ、「剣の響き」や「剣鳴り」を意味すると解釈される。
『Darraðarljóð』および『Nafnaþulur』に登場するヴァルキリーの名。
戦場で剣が打ち合う音を象徴する名前と考えられている。 - フラズグズル・スヴァンフヴィート(Hlaðguðr svanhvít)
「白鳥のように白い者」を意味するとされる名を持つヴァルキリー。
『Völundarkviða』に登場する白鳥の衣を持つ乙女の一人で、湖のほとりで糸を紡ぐ場面が描かれている。
人間の英雄と結ばれる伝承を持つヴァルキリーの例として知られている。 - フロック(Hlökk)
古ノルド語で「騒乱」「混乱」「戦場の激しい動き」を意味する語に由来するヴァルキリー名。
『Grímnismál』および『Nafnaþulur』に登場する。
戦場の混乱や激しさを象徴する存在として理解されることが多い。 - フリスト(Hrist)
古ノルド語で「震わせる者」「揺り動かす者」を意味する名。
『Grímnismál』や『Nafnaþulur』に登場するヴァルキリー。
戦場において戦士の運命を揺り動かす存在を象徴する名前とされる。

- フルンド(Hrund)
古ノルド語で「突き刺す者」「刺突」を意味する語に由来するとされるヴァルキリー名。
『Nafnaþulur』に名前が見られる。
戦場で槍や剣による攻撃を象徴する名の一つと考えられている。 - カーラ(Kára)
古ノルド語で「嵐のような者」「荒々しい者」などを意味するとされるヴァルキリー名。
『Helgakviða Hundingsbana II』に登場し、英雄ヘルギと関わる物語に現れる。
戦場の嵐や戦いの激しさを象徴する存在として語られることがある。 - ミスト(Mist)
古ノルド語で「霧」を意味する語に由来するヴァルキリー名。
『Grímnismál』および『Nafnaþulur』に登場する。
戦場を覆う霧や神秘的な存在としてのヴァルキリーの性格を象徴する名前とされる。 - オルルーン(Ölrún)
古ノルド語の rún(秘密・神秘)に関係する語を含む名で、「神秘の乙女」などと解釈される。
『Völundarkviða』に登場する白鳥の衣を持つ乙女の一人で、ヴァルキリーとして扱われる。
英雄エギルと関係する伝承が語られている。 - ラズグリズ(Ráðgríðr)
古ノルド語の ráð(助言・決断)と gríðr に由来するとされるヴァルキリー名。
『Grímnismál』や『Nafnaþulur』に名前が見られる。
戦場で戦士の運命を決める存在を象徴する名の一つとされる。 - ランドグリズ(Randgríðr)
古ノルド語で「盾」を意味する rand に由来する名。
『Grímnismál』および『Nafnaþulur』に登場するヴァルキリー。
戦士の盾や戦闘を象徴する存在として理解されることが多い。 - レギンレイヴ(Reginleif)
古ノルド語で「神々」または「力ある者」を意味する regin に由来するとされる名。
『Grímnismál』や『Nafnaþulur』に登場するヴァルキリー。
神々の力と関係する存在を示す名前として解釈されることがある。 - ロータ(Róta)
古ノルド語で「嵐」「吹雪」「荒れた天候」を意味する語に関連するとされる名。
『スノッリのエッダ(Gylfaginning)』に登場するヴァルキリー。
戦場の嵐や荒々しい戦いを象徴する存在として語られる。

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