3. 静けさと気配を感じる風の言葉
風は、必ずしも荒々しいものばかりではありません。ここでは、静かに吹き抜ける風、気配のようにそっと存在を知らせる風を表す「繊細で静かな風の言葉」を紹介します。
- 凪（なぎ）
風がまったく吹かず、海面も穏やかで静かな状態。 - 微風（びふう）
わずかに感じる程度の風。ビューフォート風力階級で風力1。 - そよ風（そよかぜ）
やさしく、かすかに吹く風。春や初夏のイメージがある。 - 風音（かざおと）
風が木々や建物に当たって発するかすかな音。 - 朝風（あさかぜ）
早朝に吹く清々しい風。古典文学にも登場する。 - 夕風（ゆうかぜ）
夕暮れ時に吹く静かな風。涼やかで穏やかな印象。 - 山風（やまかぜ）
山から吹き下ろしてくる冷たく静かな風。 - 林風（りんぷう）
森や林を抜ける、やわらかく静かな風。詩的表現に多い。 - 風の気配（かぜのけはい）
風そのものではなく、風が近づいてきたときの空気の変化を示す表現。 - Zephyr（ゼファー｜英語）
やわらかな西風。詩や文学で春の風の象徴として使われる。 - Breeze（ブリーズ｜英語）
心地よく軽い風。海辺や草原を吹き抜ける風のイメージ。 - Calm（カーム｜英語）
風がまったくない状態。航海や気象の用語にも使われる。 - Light Air（ライト・エア｜英語）
風力階級で風速1～３ノット程度の極めて弱い風。 - Favonius（ファウォニウス｜ラテン語）
春を運ぶ西風の神。やさしい風の象徴。 - Brisa（ブリーサ｜スペイン語）
穏やかで涼しい海風。夕方によく吹く。 - Zéphyr（ゼフィール｜フランス語）
英語のZephyrと同源。春の柔らかい風。 - Luftruhe（ルフトルーエ｜ドイツ語）
空気が静止している状態。無風を意味する語。
4. 自然・季節と結びついた風の言葉
風は、四季の移ろいや自然の営みと深く結びついてきました。ここでは、春風や秋風などの季節語や、特定の地域や自然現象に由来する実在の風の名前を紹介します。
- 春風（はるかぜ）
春に吹く暖かくやさしい風。古くから詩や和歌で親しまれる季語。 - 秋風（あきかぜ）
秋に吹く冷たく寂しげな風。季節の終わりや哀愁を表す言葉。 - 夏風（なつかぜ）
暑さの中に吹く爽やかな風。夕立の前などに感じることがある。 - 冬風（ふゆかぜ）
冬に吹く冷たく乾いた風。寒さを強く感じさせる表現。 - 木枯らし（こがらし）
秋の終わりから冬の初めに吹く、木の葉を散らす冷たい風。 - 山背（やませ）
夏に太平洋側から吹く冷たく湿った風。農作物に影響を与える。 - 海風（うみかぜ）
海岸から陸に向かって吹く、海の香りを含んだ風。 - 野分（のわき）
秋に吹く強風の古語。現在では台風のことも指す。 - 涼風（すずかぜ）
夏の夕方などに吹く、涼しさを感じさせる風。 - 初風（はつかぜ）
季節の初めの風。季節風や涼風。季節の始まりを告げる風。 - Sirocco（シロッコ｜イタリア語）
サハラ砂漠から地中海へ吹く暖かく湿った風。 - Föhn（フェーン｜ドイツ語）
アルプス山脈を越えて吹き降ろす乾燥した暖かい風。 - Nor’easter（ノーイースター｜英語）
アメリカ東海岸に冬季によく発生する北東からの暴風雪を伴う風。 - Trade wind（トレードウィンド｜英語）
熱帯域でほぼ一年中一定方向に吹く貿易風。季節変化が少ない。 - Harmattan（ハルマッタン｜アフリカ系英語／フラニ語）
西アフリカで冬季に吹く乾いた北東風。 - Meltemi（メルテミ｜ギリシャ語）
エーゲ海で夏に吹く乾燥した北風。季節風の一種。 - Pampero（パンペロ｜スペイン語／アルゼンチン）
南米パンパ地帯に吹く冷たく乾いた南風。寒冷前線に伴って発生。
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