福を呼ぶ神仏と、正月に結びつく信仰
正月は「願い」を立て直す時期でもあります。福や財、守護を授ける存在として語られてきた神仏は、節目の心を受け止めてきました。
- 七福神 — しちふくじん
恵比寿・大黒天など七柱からなる福の神。暮らし全体の幸福を象徴します。 - 恵比寿 — えびす
商売繁盛や大漁を司る神。笑顔の姿で親しまれます。 - 大黒天 — だいこくてん
五穀豊穣と財福の神。米俵や小槌を持つ姿で知られます。 - 弁財天 — べんざいてん
芸事・学問・知恵・財運と縁の深い女神。水や音楽とも結びつきます。 - 毘沙門天 — びしゃもんてん
武運・勝負運を司る神。困難に立ち向かう力の象徴として信仰されます。 - 稲荷神 — いなりがみ
五穀豊穣・商売繁盛を司る神。狐は使いとされます。 - 不動明王 — ふどうみょうおう
強い守護の力を持つ明王。災厄除けや困難克服の象徴です。 - 観音菩薩 — かんのんぼさつ
慈悲をもって人々を救う存在。心の安定や救済を願う信仰と結びつきます。 - 天神(菅原道真) — てんじん(すがわらのみちざね)
学問成就の神として信仰され、努力が実る象徴として親しまれています。 - 布袋 — ほてい
大きな袋を持つ福の神。寛容さや人徳の象徴とされます。 - 福禄寿 — ふくろくじゅ
幸福・財・長寿の三徳を備えた神。穏やかな老神として描かれます。 - 寿老人 — じゅろうじん
健康と長寿を司る神。鹿を従えた姿が特徴です。 - 歳神(年神) — としがみ
正月に迎える神。一年の福徳や五穀豊穣をもたらす存在として語られます。 - 歳徳神 — としとくじん
年の福徳や吉方と関わる存在とされ、歳神と結びつけて語られることがあります。
厄除け・祓い(災いを遠ざける守りの品)
正月の「守り」は、力強い道具だけでなく、清めや区切りの発想にも支えられてきました。身近に置くことで、心を落ち着かせる役割も担います。
- お守り — おまもり
神仏の加護を身近に授かる守り札。身につけて心を整える意味も含まれます。 - お神札(神札)— おふだ(しんさつ)
神社で受け、神棚などに祀る札。新年に新しくする家もあります。 - 破魔矢 — はまや
神社で授与される魔除けの矢。邪気や災厄を払う象徴とされます。 - 破魔弓 — はまゆみ
破魔矢と対になる縁起物。弓矢をそろえて守りの意味を強めると語られます。 - 護符 — ごふ
厄除けや願掛けのために授けられる札。家や身の回りに納めて守りとします。 - しめ縄 — しめなわ
神聖な領域と日常を分ける結界。不浄を防ぐ役割を担います。 - 紙垂 — しで
しめ縄などに添える白い紙。清浄と神聖を示すしるしです。 - 盛り塩 — もりしお
清めや邪気払いの意味で玄関などに置かれる習俗です。 - 獅子舞 — ししまい
獅子が邪気を食べるとされ、無病息災を願う民俗芸能です。 - 鈴 — すず
澄んだ音で場を清めるとされ、神事や御守りにも用いられてきました。 - 絵馬 — えま
願い事や感謝を託して奉納する板。節目の参拝で親しまれています。 - だるま — だるま
七転び八起きの姿に、困難を越える願いを託した縁起物です。
金運・商売繁盛(財と人の巡りを招く縁起)
人が集まり、運が巡り、商いが続くことを願う象徴です。市や祭礼、店先のしつらえとして根づいてきたものが多く見られます。
- 招き猫 — まねきねこ
福や人を招く象徴。右手は金運、左手は客を招くとされます。 - 熊手 — くまで
福や運をかき集める道具として、酉の市で授与される縁起物です。 - たぬきの置物 — たぬき
店先の商売繁盛の象徴。人を招き景気がつくことを願います。 - 大入袋 — おおいりぶくろ
「大入り」を祝う袋の意匠。千客万来の象徴として使われます。 - 福助人形 — ふくすけにんぎょう
福を招き、家運や商いの安定を願う縁起人形です。 - 福笹 — ふくざさ
十日戎で授与される笹。小宝を結び、商売繁盛を願います。 - 福箕 — ふくみ
箕の形に福を招く願いを重ねた授与品。十日戎などで見られます。 - 五円玉 — ごえんだま
「ご縁」に通じる語呂から、良縁や金運のお守り代わりに持たれます。 - 種銭 — たねぜに
「お金が増える種」と見立てて大切にする銭。財布に入れて守りとします。 - 打ち出の小槌 — うちでのこづち
振ると財宝が出るとされる伝説の道具。富と繁栄の象徴です。 - 小判 — こばん
富や成功を連想させる形として、金運の象徴に用いられてきました。 - 銭亀 — ぜにがめ
亀の堅実さに財の願いを重ねた縁起物。置物などで見かけます。 - お多福(おかめ)面 — おたふく(おかめ)めん
福相の笑顔に、福を招く意味を託した意匠。熊手飾りにも用いられます。


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